遺言書は『公正証書遺言』で、効力を残そう。遺留分についても解説!
残した家族に財産争いをして欲しくない。
実家は必ず長男に継がせたい。
残した家族で仲良く均等に財産を分けたい。
自宅は妻の生活拠点に残したい。
最近「終活」という言葉を耳にする事が 多くなってきました。
自分が築いてきた、親から譲り受けた財産を
次の世代にどのように渡したいか
それを書面に明記するのが「遺言」です。
遺産の相続をめぐる財産争いを防ぐたために 遺言書を活用する人が増えています。
遺言書は財産を贈与する法的効果があり、
被相続人の 思いを記載した「遺書」とは区別されます。
1・遺書と遺言書の違い
1−1 遺書とは
遺書とは被相続人の「思い」を記載します。
内容や形式は自由です。
手紙のような物ですので財産分割の事を書いても
法的な効力はありません。
自由に伝えたいことを書きましょう。
<遺書の例>
①「兄弟は仲良くしなさい。残された母を大切に」 ②「お葬式は自宅でして欲しい」
③「遺影にはこの写真を使って欲しい」
2−2遺言書とは
上記の遺書とは違い、財産の分配や相続について
残された家族に対して意思を示したい場合に
遺言書を作成します。
遺言書にはその書き方にルールがありますので
ルールに沿った書き方をする必要があり、
それができていないと、遺書として扱いを受け
遺族の意思で財産が分配されてしまいます。
相続、財産分配について意思を残したい場合は
ルールに則った遺言書の作成が必要です。
2・遺言書の3つの種類
2−1遺言書の種類の解説
【自筆証書遺言】
遺言書が自ら手書きし、押印します。
(定められた方式でなければ効果がありません。)
証人がいらず、いつでも、どこでも作成でき
費用もかかりませんが、遺言者の死亡後に遺言書が
発見されない場合や発見されても隠居あるいは破棄される 恐れがあります。
開封するには裁判所の検認が必要です。
【公正証書遺言】
遺言者が公証人に遺言の内容を口述し、
公証人がこれを筆記して作成します。
(手話通訳又は筆談により作成することもできます。)
2人の証人と手数料が必要ですが、
隠居・破棄の危険性がなく確実な遺言書です。
【秘密証書遺言】
遺言者が遺言の内容を秘密にしたまま、
遺言書を封印します。
遺言書を封印したまま公証人及び2人以上の証人の前に
封書を提出し自分の遺言書であることを申し述べます。
開封するには裁判所の検認が必要です。
種類としては3つの種類がありますが、
【公正証書遺言】が1番確実に自分の意思を遺族に伝える
方法と言えます。
2−2それぞれの作成費用
【自筆証書遺言】
自分で作成するのですから費用はかかりません。
しかし、相続や遺産分配に関して自分の意思を
反映したいのであれば、
確実に意思を反映できる公正証書遺言がおすすめです。
【公正証書遺言】
公正証書遺言とは公証役場という役所に所属する
公証人という専門家と相談しながら
遺言を作成する方法です。
公正証書遺言を作成するためには、
公証人に対して手数料を支払う必要があります。
公証人に対して支払う手数料は
基本手数料が1万1000円で、
遺言書に記載する財産の価額に応じて
以下のように加算額が決まります。
100万円以下 5000円
200万円以下 7000円
500万円以下 11000円
1000万円以下 17000円
3000万円以下 23000円
5000万円以下 29000円
1億円以下 43000円
これ以上になると、5000万円刻みで手数料が加算されます。
3億円以下までの金額の場合は1万3000円加算、
10億円以下は1万1000円加算、
10億円超の場合は8000円
ずつ加算となります。
その他、公証役場まで出向くのが難しい際に
公証人に自宅まで出張してもらったような場合には、
交通費などの実費が必要になります。
2−3公正証書遺言の作成費の具体例
例えば、
妻に2億円、息子に1億円の財産を
相続させたい旨を公正証書遺言に残す場合
11000円+56000円(妻)+43000円(息子)
=110000円
3・遺留分について解説
3−1遺留分とは
遺留分とは、
相続人が相続できるものとして民法で保証されている
最小限の財産のことです。
遺留分があるのは、
配偶者、子、直系尊属(両親や祖父母)だけで
兄弟姉妹にはありません。
相続人が直系尊属のみの場合は、
相続財産の1/3、
その他の場合は1/2が遺留分割合です。
例えば遺言書で財産の全てを孫に相続させたいと思っても
遺留分があるので注意が必要です。
3−2遺留分の額と割合
【基礎財産】×【遺留分割合】×【法定相続分】
=【遺留分の額】
となります。
例)相続人が妻と子供2人の場合
妻の遺留分=1/2×1/2=1/4
子供1人の遺留分=1/2×1/2×1/2=1/8
3−3遺留分に伴う制度
①遺留分減殺請求
遺留分を侵害された場合、
相続の開始を知った時から1年以内に
請求することにより財産を取り戻すことができます。
②遺留分の放棄
相続の放棄は相続の開始前にはできませんが、
遺留分の放棄は、
相続の開始前でも家庭裁判所の許可を受けて
することができます。
③経営承継円滑化法による民法の遺留分の制限
オーナー経営者が事業承継のために自社株式を 後継者に贈与した場合、以下の制限があります。
【除外合意】
推定相続人全員が合意した場合、その株式を遺留分から
除く事ができます。
→相続に伴う株式分散を未然に防止するのに役立ちます。
【固定合意】
その株式の金額を推定相続人全員の合意した時点の価格に 固定する事ができます。
その贈与株式はその固定した金額で
遺留分の対象に含めます。
→後継者の貢献による株式価値上昇分が対象外になります。
4・遺言書の注意点とまとめ
4−1遺言書だけに頼るのはやめましょう。
ここまで説明してきたように、
【公正証書遺言】によって
財産分割に伴う意思を相続人に確実に伝える事ができます。 また、遺言書は書き直す事が可能です。
気持ちが変わった場合はその都度書き直すことで、
正確に意思を伝える事ができます。
その場合、日付の新しいものが有効となります。
しかし、意思を伝えるのは可能ですが、
相続人の立場になれば、
もらえるはずだった財産がもらえない等、
相続人をがっかりさせる
引き金になるかもしれないのも事実です。
遺言書の作成にあたっては、自分の意思を生前の間に
相続人全員に伝えて、理解してもらってから
遺言書を作成する事をお勧めします。
特に不動産を相続する場合は、
その管理の手間や手続きに要する費用、借金がついてくる等 もらった相続人に負担が伴うこともあります。
できるだけ、話し合いの場を設けて
円満な財産相続の準備をしましょう。
MK不動産では、遺言書作成や遺産分割協議書作成が得意な 「司法書士」のご紹介が可能ですので
お気軽にご相談ください。
公正証書遺言を推奨しますが、
自筆証書遺言を希望される方は
を参考にしてください。
私なりに分かりやすいと感じたので
リンクを貼らせて頂きます。
今後も不動産・相続について
皆様に役立つ情報を発信してまります。